かしわめし・おりお [食い物]
JR折尾駅は福岡県の北九州市にある。
その駅のことを、地元の人はもちろん知っている。
普段なんの気なしに電車に乗ったり降りたり乗り換えたりしている。
九州の大動脈（電車的な意味で）である鹿児島本線の特急停車駅なので、福岡から鹿児島に至る沿線の人は通り過ぎたことはある程度には認識しているのではなかろうか。
でも、僕がそうであったように、住まいも九州から遠く親類もおらず縁薄く育った人は知らないかもしれない。
むしろ多くの人にとっては馴染みの薄い駅という事になると思う。
どこか遠くの知らない町の知らない駅。
今日はその大多数の人にとっては馴染みのない駅の名物について書く。
この駅をごくごく限られた形で有名にしているのは、古い木造駅舎と「東筑軒」だ。
古い木造の駅舎について興味を持った人はGoogleでもなんでも検索して調べて欲しい。
しかし、そんな人は間違いなく僕より詳しいはず。僕ごときが何かを語れるわけもない。
もしそういう興味をお持ちの方が流れ着いてしまったとしたら、その無駄足については深くお詫びしたい。
以前のエントリに写真が1枚だけあった。
資料性も芸術性も無い写真だけれど、空の青さに免じて許してもらえれば、と思う。
他にうどんの写真もあるので、無駄足ついでにどうぞ。
さて、かしわめし。
「かしわめし」がなんだかわからない人は再びGoogleで検索してみるといい。またかよ。
検索結果の上位ページを見ればそのなんたるかを知る事ができ、また「かしわめし」界における折尾駅が占める地歩について若干なりとも理解する事ができるだろう。
場合によっては「かしわめし＝折尾駅の駅弁」的な説明により、何を調べに行ったのかわからなくなるたらい回し的な気分になるかもしれない。
ちなみに東筑軒のかしわめし（750円）の外観はこんな感じ。（ひもを外したところ）
こういう掛け紙が掛かっている。
もし本当に興味を持って検索した人がいたとすれば申し訳ない。
さっさと見せればよかった。
さらに、中はこんな感じ。
鶏出汁で炊いたご飯に、かしわ・錦糸玉子・海苔のトリコロール。
これが九州標準の「かしわめし」スタイルのようだ。誰が始めたのかは知らない。
フレームから切れたところにわずかの副食物という極めてシンプルな弁当。
わざわざ写真まで撮って紹介しているくらいなのだから改めて言うことでもないけれど、僕たち（僕と嫁）はこのお弁当が好きだ。
大好物のおかずが入っているわけでもないし、見た目に豪華というわけでもない。
初めて食べたときはそこまで美味しいとは思わなかった。
それでも、なんとなく選んでしまう。3回食べたらしっくり来るようになった。
飛び上がるほどではないけれど、しみじみと美味しい。
そしてこのお弁当により僕らは「折尾駅」を知った。
駅構内で東筑軒が営業している事も、立ち食いのうどんの事も。
このうどんも相当に旨いらしい。興味が募る。
昨年、一昨年と九州に旅行に行った。「ついでに」と言うべきか、「ついに」と言うべきか、念願の折尾駅を訪れることができた。
あくまでも九州に旅行に行った「ついで」とはいえ、わざわざ早起きして博多から特急電車に乗っていく「ついで」があるだろうか。2年続けて駅に立ち食いうどんだけ食べに行くような「ついで」があっても良いのか。
食べたかったんだから仕方ない。
嫁と二人、それぞれかしわ入りうどんとおにぎりを注文する。
“やっぱりうどんウマい！”
“おにぎりも美味しいよ！！”
二人とも声にならず（出せず）に顔を見合わせる。
『このうどんを食べに来たんですよ』って言いたかったけれど、言い出せなかった。
何か言いたそうにしてるところが挙動不審ぽかったかもと思うと恥ずかしい。
東筑軒のおばちゃんは二人。
いかにもよそ者然として慣れない感じの僕らを、珍しそうに見てにこにこ笑っていたけれど、その仕事ぶりには地元の人や旅人たちに愛されている自信がにじみ出ていたような気がする。
おばちゃん達も僕らの気配を察して？何か言いたげな雰囲気だった。
でもそれは聞かなくても判った。『おいしいでしょ』と言っていたのだ。
僕らも「（おいしかったです）ごちそうさま」とだけ言って店を出た。
あ、かしわめしの話だっけ。
こんなおばちゃん達が作っている（と思われる）東筑軒のかしわめしを関東で食べられる数少ないチャンス！が来た。ていうか今来ている。
東武百貨店船橋店の「第11回 福岡物産展」に実演で出店中。
できたてでほんのりご飯があたたかい？「かしわめし（750円）」を販売中。
お近くの人は是非是非。
※2月16日（火）まで
今年は1月の京王百貨店の駅弁大会に東筑軒の参加がなく、寂しい思いをしていた人が多かったようだ。
そんな人たちが集結したのか、僕らが行った時にはどどどっと列を作っていた。
この行列が良いプレッシャーとなって、関東の催事への参加が増えるといいなあ、と淡い期待をしている。
その時はうどんもお願いします。
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